< 前回(第3回) 次回(第5回) >
社会に役立つ寄付を行なった人を顕彰する『まちかどのフィランソロピスト賞』。2001年度は、58件の推薦の中から、次のとおり贈呈先が決まりました。
贈呈式は、2001年9月20日(木)に学士会館(東京都千代田区)にて開催しました。
◆ まちかどのフィランソロピスト賞
栗山 みさを(くりやま みさを)さん
(東京都中野区)
<贈呈理由>
 
栗山みさをさんは、東京女子大学を卒業後、ガリオア留学生として1年間アメリカに留学。帰国後すぐに結婚し、世界銀行勤務のご主人に伴い、1960年より10年間、アメリカ・ワシントンD.C.で、その後2年間、バングラデシュの首都ダッカで暮らす。
 
帰国後、スーパーで子どもをおんぶして買い物をしている主婦を見かけたことで、外国では見慣れないその姿に、地域の女性のために何か役立ちたいと、「母親英語教室」への参加を、区報を通して呼びかけた。その呼びかけに、栗山さんの自宅の電話は鳴りっぱなし。特に、戦時中、アルファベットも覚える余裕のなかった世代の母親たちが、学ぶことを渇望している様が手に取るようにわかったという。こうして1975年、「マロン英語サークル」が始まった。ボランティアで始めたことなので、最初の7年間は無償で教えていたが、生徒からの強い要望で、8年目から月会費を1,000円、その翌年から2,000円を受け取るようになる。そして、その会費は全額、その時々の要望に合わせて複数の団体に寄付し続け、26年目の今日、その額は1,700万円にのぼる。
 
栗山さんをこうした活動に駆り立てた原点には、ガリオア留学生として渡米したことがある。本来は、留学で得たものを、帰国後日本のために役立てる約束になっており、留学生に選ばれた人たちは、学者や役人などが多かったので、学生の自分にチャンスを与えられた幸運に感謝していたものの、帰国後すぐに結婚してしまい、それを果たせずにいたことが、知らず知らずのうちに心のしこりになっていたようだ。また、バングラデシュ滞在中に、大規模な台風があった際、現地邦人は「日本人会」として寄付をしただけだったのだが、西欧人たちは、自分の子どもを背負いながら、率先して怪我人の救助や救援物資を運んでおり、その姿を目の当たりにしたことが、ボランティアに対する意識・姿勢に大きく影響したという。
 
こうした経験から、社会にお返しする方法はないかと考えた結果が、女性のための英会話教室だった。栗山さんの思いに共感した女子大の仲間の岡田知恵さん、大西喜和子さん、権平弘子さんらが講師に加わり、その輪は栗山さんの志と共に大きく拡がっていった。
 
東京・中野で、地域の人たちと親しく交わり、庶民の学ぶ心を支え、共に楽しんで、自分のできることで役立ちたいという自然体で私心のない栗山さんの笑顔は、周りのものをさわやかな風で包んでくれる。戦後のガリオア留学生の中に植えられた感謝の心が、その聡明さと謙虚さで周りの心を動かし、地域に温かいつながりをもたらすことで、共生の精神として新しい時代に受け継がれている。国際性とは、地域での暮らしの中で生かされて初めて真に根づくものであることを示している。地域に暮らす人々と共にあることを無上の喜びとする栗山さんを『まちかどのフィランソロピスト』として称えることは,新しい世紀の始まりにふさわしいものであると確信する。
【ガリオア留学生】GARIOA/Government Aid and Relief in Occupied Areas
米国の占領地域救済基金。1949年から1951年まで実施。その資金により様々な物資の提供のほか、人材の交流として約1,000名の日本人が米国へ留学した。
その後、日米二国間の教育交換計画に関する覚書が交わされ、1952年からフルブライト交流計画として日米相互の人物交流が始まった。日本におけるこの交流計画は開始以来、約30年にわたり米国政府からの資金で運営され、1979年12月に日米教育委員会が新たに設立されてからは、日本政府も運営費用を分担するようになった。
現在は、政府資金(両国政府で折半)と日米教育交流振興財団等からの民間資金援助(日本人ガリオア・フルブライト同窓生により設立)で運営され、毎年、約60名の米国人と約70名の日本人の人物交流を実施している。同窓生は日本人が約6,800名、米国人が約2,000名でその中の多くは今日、教育、行政、法曹、ビジネス、マスコミ等さまざまな分野で活躍している。
◆ 贈呈式
日時:
2001年9月20日(木)18:00~20:00(開場17:00)
会場:
学士会館 3階320号室
<所在地> 東京都千代田区神田錦町3-28
<最寄駅> 都営地下鉄三田線、新宿線、営団地下鉄半蔵門線「神保町駅」A9出口徒歩1分
プログラム:
18:00~18:45 贈呈式
 ・まちかどのフィランソロピスト賞 贈呈
 ・来賓ごあいさつ
樋口廣太郎 氏(アサヒビール株式会社 名誉会長)
18:45~20:00 懇親会
 ・ピアノとヴァイオリンによるアンサンブル演奏 ほか
 
第4回 まちかどのフィランソロピスト賞 実施要項
趣旨
「陰徳こそが好ましい」という考えがあったり、寄付金に対する優遇措置が未成熟なことから、日本では寄付の文化が育たないと言われています。寄付が盛んなアメリカではその約90%は個人が行なっていますが、日本では90%以上が企業や財団によるもので、寄付イコール企業や大金持ちがするものという縁遠いイメージがあるようです。そのため、寄付した人もできるだけ目立たないように行なうことが多く、残念なことにその実態がよくわかっておりません。
 
しかし平成の大不況といわれる今日でも、社会の役に立ちたいという想いを込めて寄付を行なう人も決して少なくありません。金銭的な豊さだけでなく、心の豊さを求める人々の姿に、新たなヒントがあるかも知れません。本賞では「まちかどの」と名づけ、「ごく普通の生活のなかにある寄付」を広げようと考えております。
対象
・社会のために私財を投じた個人またはグループ(金額の多寡は問いません)。
・社会のために寄付を集め、それを他者に寄付をした個人またはグループ。
・故人も対象とする。
ご応募
《ご応募方法》
 ・当協会所定の推薦書用紙にご記入の上、下記事務局へご送付ください。
 ・他薦に限ります。
 
《ご応募締切》
 ・2001年2月28日(水)消印有効
選考
《選考方法》
 ・書類審査および訪問審査(ヒアリング)
 
《選考基準》
 ・次のいずれかを満たすもので、寄付額を競うものではありません。
  (1)フィランソロピー(人類愛)にふさわしい寄付であるもの。
  (2)社会のために大変役立っているもの。
  (3)寄付にあたって、人々を感動させるようなエピソードをもつもの。
 
《選考委員》
委員長
出口 正之
国立総合大学院大学教授
 
林 雄二郎
日本NPO学会会長、社団法人日本フィランソロピー協会顧問
 
井上小太郎
住友生命保険相互会社
 
西野 正浩
株式会社 資生堂
 
清水あつ子
富士ゼロックス株式会社
 
野本 勲
東京電力株式会社
 
仲上 俊二
関西電力株式会社
 
髙橋 陽子
社団法人日本フィランソロピー協会 常務理事・事務局長
表彰
《贈呈品》
 ・『まちかどのフィランソロピスト賞』(1名)に賞状と記念品を贈呈します。(賞金はありません)
 
《贈呈式》
 ・2001年9月に学士会館(東京都千代田区)にて開催します。
事務局
《ご応募書類お送り先・お問い合わせ先》
  社団法人日本フィランソロピー協会
  『まちかどのフィランソロピスト賞』事務局
  担当:佐々木理代(ささき りよ)
 
  〒106-0041 東京都港区麻布台2-3-8 丸山ビル7階
  TEL: 03-3568-3241--FAX: 03-3568-3245