第9回企業フィランソロピー大賞
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◆ 大賞
ヤマトホールディングス株式会社(東京都中央区)
≪贈呈理由≫
東日本大震災ではあらゆるものが甚大な被害を受けた。その後の緊急支援、さらには復旧・復興に必要となる物流ネットワークも例外ではなく、全国から寄せられた支援物資も自治体や集積所、大きな避難所までには届いても、それを必要とするすべての人たちに届けられない事態が続いた。こうした状況に対して、同社は「自分たちの専門性を活かそう」と立ち上がり、被災地の自治体、自衛隊などとも連携して行動を開始した。この行動の発端は被災地の社員が先ず動き出したことによるが、その活動に本社がただちに反応し、全社を挙げた取組みを開始した。さらに、純利益の約40%もの額に達する「宅急便1個につき10円を寄付する」という経営判断を下し、それに社員・株主が賛意を表し、その結果、顧客の共感も得た活動となっている。東北の地に恩返しをしたい、という感謝の気持ちとともに、震災で直面する大きな困難に全社を挙げて対応するという行動は、経営陣の優れたリーダーシップによるものである。また、コミュニティの一員としての責務を果たそうとする社員一人ひとりの行動は、社訓に裏打ちされた自主行動の結果として評価されるものである。さらに、「自分たちにしか出来ないこと」を明確に認識し、目の前の課題に躊躇することなく、正義と責任感、人間としての使命感に基づき果敢に立ち向かう精神と実行力は、固定観念にとらわれない同社のDNAとも言うべき経営方針によるものといえよう。震災で浮かびあがった数々の課題を見据えた上での大胆な発想と革新的な行動、また被災した人々を真に救おうとする人道的な姿勢は、今、最も求められる企業のフィランソロピー姿勢であり大きな賞賛に値する。
≪活動内容≫
東日本大震災の被災地における支援活動
◆ 特別賞/水辺のコミュニティ創造賞
青梅信用金庫(東京都青梅市)
≪贈呈理由≫
地域の活性化と自立は地域社会における喫緊の課題である。こうした課題の解決に取り組むため、同金庫は「美しい多摩川フォーラム」を立ち上げ、その事務局を担っている。これは、定住人口の増加が望めない中、交流人口の増加がこの課題への解決の鍵を握るとの認識の下、公益的・中立的な地域づくりの実践組織である。「多摩川を軸とする美しい多摩川フォーラムを通じ、流域の行政区域を超える形で地域の人々を心の絆で結び、ひいては地域の共生・発展につなげる」という目標を掲げ、この流域をベースにして経済、環境、教育文化の観点から市民、行政、企業、NPOなどが広域的に連携・協働する地域づくりのモデルを構築している。すなわち、経済の観点からは多摩川流域の桜の名所の観光ブランド化、環境の観点からは健康かつきれいな水辺づくりのための活動、更には健全な森作りを目指した活動を行っている。また、教育文化の観点からは多摩川を「教育河川」と捉え、特に子どもたちへの自然・環境教育に重点を置いた活動を行っている。このように、河川の流域を地域として捉え、それにまつわる人・組織がともに連携・協働する地域づくり運動としてモデル化した点は独創的であり、その中核となる事務局機能を担う同金庫の役割は停滞する地域の活性化に楔を打ち込むものとして高く評価できる。
≪活動内容≫
「美しい多摩川フォーラム」
~公民連携・協働推進による“人々の心を緩く結んだ地域づくり~
◆ 特別賞/“田から”の子ども育成賞
宝ホールディングス株式会社(京都市)
≪贈呈理由≫
自然が育んだ田畑の恵みに感謝し敬意を払うという考え方は、創業以来の「自然の恵みを自然にかえす」という企業精神により受け継がれている。こうした企業精神に則って、2004年から次世代を担う大切さを子どもたちに伝えることを目的として「田んぼの学校」を開校、米作り体験や自然観察などについて学ぶ機会を作っている。この学校は、自然を守り、大切にする心を養う環境教育の側面、農体験を通じて自然の恵みに感謝する心を培う食育の側面、お米と本みりんに関する認識を深める社会・伝統文化教育の側面を併せ持っている。学校は、同社のスタッフだけではなく、田を提供する農家、自然観察指導員、NPO、行政とも協働して運営され、ここで収穫された米は、大部分がみりんに加工され参加者に送られるが、一部は養護学校に寄付されている。自然環境になじむ機会の少なくなった現代の子どもたちに自然体験機会を提供する活動は多いが、ここでは田んぼとその周辺にある動植物を観察して生物とその多様性に関心を持たせるなど、子どもたちの自発的な行動を引き出すための数々の優れた仕掛けが施されている。酒造会社がその最も重要な原料であるお米に着目し、お米が産出される田んぼに社会貢献の場を発見したことに共感を寄せるとともに高く評価できる。
≪活動内容≫
TaKaRa 田んぼの学校
◆ 特別賞/地球市民教育賞
パナソニック株式会社(大阪府門真市)
≪贈呈理由≫
社会が急速に多様化、複雑化する中で、学校教育の現場もさまざまな課題を抱え、教員の力だけでは対応できなくなっている。教育現場からも、子ども達の学んでいることと実社会とのかかわりを企業人から直接語りかけて欲しい、の要請がある。一方、環境問題は人類が直面する最大の難題でもあり、一人ひとりが自ら出来ることを考え、実践していくことでしか事態の改善は望めない。こうした背景から、同社では学校教育支援としての社会・環境教育、理科教育、キャリア教育、さらにグローバル環境教育活動に取組んでいる。学校教育支援は国内の小学校高学年、中学生を対象に2008年より開始しており、毎年、全国の多くの学校で実施し成果を挙げている。また、グローバル環境教育は同社のグループ社員が容易に実施できるように工夫された教材を使い、事業を展開する世界25カ国(2010年度)の子ども達を対象に展開している。ビジネスで活躍し地域で生活する社員が新たな視点から将来の人づくりを目指した教育に積極的に関わる試みはグローカルな実践として特筆すべきものである。また、全事業の基軸に「環境」を置き、世界中の次の世代のために世界で起こりつつある「グリーン革命」を推進する観点から生まれた「グローバル環境教育」は、当社の経営理念や経営トップの強いリーダーシップに基づくものである。こうした活動を自社だけでなく他の多くの企業や団体と一緒に取組んでいこうとする姿勢は、活動の波及性という観点からも大いに評価できるものである。
≪活動内容≫
パナソニックの次世代育成支援の取組み
~学校教育への支援とグローバル環境教育~
 
◆ 特別賞/パンが運ぶ共生賞
株式会社 パン・アキモト(栃木県那須塩原市)
≪贈呈理由≫
救缶鳥プロジェクトは、独自の技術により災害時の備蓄用非常食として開発したパンの缶詰を災害被災者や飢餓に苦しむ人々に供給するものである。特に、海外の飢餓で苦しむ人々への食糧支援物資としての役割は大きく、缶の大きも現地の再利用に適するサイズにするなど、環境面も考慮され独創性に富むものである。パンの缶詰(救缶鳥)の賞味期間は通常3年であるが、学校、企業、自治体などを含む消費者から2年を経過した救缶鳥を100円で回収し、これを他の団体との協力により食料の不足した地域に届けようとするものである。非常食は賞味期間を過ぎれば入れ替えの上廃棄されるが、この入れ替えのための周期を工夫することにより支援物資として新たな使命を持つ物資に変わる。こうした仕組みにより災害支援、飢餓対策支援物資として送られた救缶鳥は2004年から2010年3月までで12万缶に達している。独自の技術でパンを缶詰にすることにより、誰もが出来る社会貢献のための物資に変える、また製造したものを廃棄することなくしっかりと消費するこのプロジェクトは社会貢献要素を取り入れた新しいビジネスモデルをも提案するものであり、震災を機に広く詳らかにしたい好例である。
≪活動内容≫
救缶鳥プロジェクト
 

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