選考委員による書類審査およびヒアリング選考を経て、次のとおり贈呈先(受賞企業)が決まりました。
贈呈式 は、2015年2月17日(火)にプレスセンターホール(東京都千代田区)にて開催しました。

企業フィランソロピー大賞
日本ウエストン株式会社
(岐阜県岐阜市)
活動の名称:障がいを乗り越え一人の働き手に
<贈呈理由>
同社は、昭和45年、現会長臼井清三氏が創業した工業用ウエスやタオルなどのクリーニングを行っている会社である。 創業当時は、大量生産、大量消費の時代で、日本にリサイクルという概念が定着しておらず、使い捨てにするウエスを洗濯して再利用するというビジネスモデルは、当時の流れに逆行すると考えられていた。しかし、昔からの「もったいない」精神、同社の経営理念である「活かす」ということを念頭に事業を継続してきた。
事業を始めてまもなく、近隣の精神障がい者をもつご家族から、ぜひ雇用してほしいと依頼を受け採用したことがきっかけで、就職希望者が増加し、「施しではなく働き手に」をモットーに掲げ、現在の障がい者雇用率は20%である。事業も発展し、同社の敷地だけでは狭くなってきたことや、精神障がい者の社会復帰のための訓練が必要との考えから、社会福祉法人清穂会を立ち上げた。現在は、2事業所で約100名(うち7割が精神障がい者)の通所者が業務委託で同社と契約し、クリーニング後のウエスのたたみあげ作業や袋詰め作業などを行っており、同社のパートナーとして、なくてはならない存在になっている。昨今の小ロット多品種の顧客ニーズへの対応、海外への所得移転の解消、重度の知的障害者・精神障碍者の雇用創出などの課題を解消するために考えた商品やサービスが核となり、同社の顧客や取引先、従業員すべての人間重視の経営を創りだしている。また、環境への負荷が高い事業内容であることから、廃水処理水についても、業界でいち早く、複合発酵バイオプラントを導入、NEDOとの共同研究によるソーラーパネルの活用などを推進し、環境負荷の低減の努力を続けている。
同社は、「弱者も輝ける社会に」は「誰しも輝ける社会に」であることを、細部にわたっての実践を通し示している。経営理念である「活かす」ことを軸に置いた経営は、CSV経営が言われる今、規模・地域・業態を問わず各地のさまざまな企業の輝きを模索するための一筋の光であり、それを称え「企業フィランソロピー大賞」を贈呈するものである。
企業フィランソロピー賞
≪びっくリサイクル賞≫
株式会社アレフ
(札幌市)
活動の名称:環境問題への全社的取組み
<贈呈理由>
同社は、“びっくりドンキー”を中心としたチェーンレストラン事業を展開している。
企業理念に示された「企業は社会の中に存在し、社会の不足や不満、問題を解決することをもって、その存在根拠とする」という考えに基づき、環境問題に対して環境行動方針と年度目標を設定し、全従業員が環境問題に対する多彩な活動を行なっている。
自社の食品リサイクル率100%を目指した全社的取組みを1997年よりスタートした。現在“びっくりドンキー”130店舗に、機械メーカーと共同で開発した生ゴミ粉砕処理機“ゼロワンダー”を設置している。これにより、店舗から出る生ゴミをバクテリアを利用して粉末状に処理し、料理に使用する野菜を栽培する提携農家で堆肥を作る際の発酵促進剤として自家消費したり、店舗の植栽に有機肥料として利用する全国的なリサイクルシステムとして取り組んでいる。さらに、店舗からの廃食用油リサイクルに加え、2007年からは地元の北海道と関東の一部店舗では、家庭から出る廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料(BDF)などの原料としてリサイクル活用している。
2007年2月に開業した食材加工を担う北海道工場では、地下100mの地中熱および、冷蔵庫や冷暖房設備から出る排熱を利用して、CO2排出量の約40%削減と、灯油使用料ゼロを実現している。環境保全という社会問題に対して、経営理念に則り、自社の経営資源を有効に活用するという基本原則に忠実な企業フィランソロピー活動として称えたい。
≪ハーティ・プロボノ賞≫
有限責任監査法人トーマツ
(東京都港区)
活動の名称:トーマツ復興支援室
<贈呈理由>
同社は、監査やマネジメントコンサルティング等を提供する日本を代表する会計事務所の一つである。2012年9月より、CEO直轄の組織として仙台事務所を拠点に復興支援室を立ち上げ、プロボノによる様々な支援活動を行なっている。
同社の復興支援の特徴は、被災地にもたらされる多種多様で大量の資源(ヒト・モノ・カネ)を、同社が「情報のハブ」として被災地企業・自治体が求めている機能や資源のニーズに合わせて整理し、有機的に結び付け、迅速なサポートができるよう取り組んでいることである。
特に、中心となる被災地企業に対する復興・再生支援は、本業である企業再生のノウハウやスキルを活かしながら、被災地という事情を考慮し、スピード重視のために多くの社員が休日を使って被災地を訪問し、地元で経営基盤が壊れてしまった経営者を励まし、再生につなげた。その経験は逆に、関わった社員の成長にも寄与しているという。
被災地の経営者の心に寄り添い、トップはじめ全国の社員が熱意を持ってプロとしての力を出す取り組みは、今後のプロボノのモデルとして大いに期待したい。
≪ソーシャル・インクルージョン賞≫
株式会社ファンケル
(横浜市)
活動の名称:誰もが地域の仲間として共に働き暮らすための活動
<贈呈理由>
同社は、「化粧品公害で困っている女性たちを助けたい」という「世の中の不のつく事柄の解消」を目的として、1980年に設立された日本初の無添加化粧品の会社である。
同社の障がい者支援活動は、1987年に創業者池森賢二氏が、同じ横浜市内で活動する重度重複障がい者の通所施設「社会福祉法人 訪問の家」の日浦美智江施設長と出会い、「障がいのある子どもはどこの家庭にどのような形で生まれてくるか分からないから、皆が見てあげなければならない」という思いと活動に感銘を受けたことから始まった。
訪問の家の利用者やスタッフへの食事会や、収入を上げるためのパン作り支援など、最初は訪問の家との直接的な交流が主な活動であったが、27年を経て、その輪は日本全国に広がっている。全国の福祉施設に社員が訪問して行なうメイクセミナーや、特例子会社を設立しての障がい者雇用の促進、従業員、株主、顧客からの福祉施設・団体への寄付活動など、さまざまなステークホルダーが、障がい者の暮らしを考え、交流や支援を行なうための機会を提供している。
創業者の社会への思いは同社の経営の根幹として社員の中に引き継がれており、障がい者支援を当たり前に行なう企業として確立し、今後も発展していくであろう同社を、企業フィランソロピー賞として称えたい。
第12回企業フィランソロピー大賞 実施概要
目的:
社会の課題解決のために、自社の経営資源(人材・ノウハウ・技術・情報など)を有機的・持続的に活用した社会貢献活動を顕彰し、広く社会に発信することにより、公正で温もりと活力ある社会を次世代に伝える一助とします。2003年(平成15年)創設。
ご応募:
<贈呈対象>
企業が行なう社会課題の解決や社会の健全な発展に寄与する活動
・自薦、他薦を問いません。
・企業の業態・規模の大小を問いません。
・全社的な取り組みに限らず、各事業所や部門単位でのプロジェクトもご応募いただけます。
※NPO等、非営利法人の活動は、贈呈対象ではありません。
<ご応募方法>
当協会所定の応募用紙にご記入の上、ご応募フォームに添付してお送りください。
<ご応募締切>
2014年9月30日(火)
選考:
<選考方法>
書類審査および訪問調査(ヒアリング)
<選考基準>
社会性:社会課題の解決に向けて真摯に取り組み、成果をもたらしている
先駆性:固定観念や既成概念にとらわれず新たな社会価値を創造している
波及性:地域や他企業などへの広がりがみられる
経営との関連性:経営陣の関与・経営理念との関連性が明確である
従業員の関与:社内に広く理解され、積極的な従業員参加が見られる
<選考委員>(50音順)
【委員長】 武田 晴人氏(東京大学大学院経済学研究科 教授)
岩田 喜美枝氏(株式会社資生堂 顧問/公益財団法人21世紀職業財団 会長)
佐藤 雄二郎氏(一般社団法人共同通信社 専務理事)
渋澤 健氏(公益財団法人日本国際交流センター 理事長/コモンズ投信株式会社 取締役会長)
表彰:
<選考結果発表>
2014年12月(予定)
<贈呈式>
2015年2月17日(火)
会場:プレスセンターホール(東京都千代田区内幸町2-2-1日本プレスセンタービル10階)
表彰:大賞1件と入賞数件を表彰し、賞状を贈呈します。 (賞金はありません)
お問合せ先
公益社団法人日本フィランソロピー協会
『企業フィランソロピー大賞』事務局
担当:永井裕美子 藤川祥子
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244
TEL:03-5205-7580 FAX:03-5205-7585