第441回

新春特別セミナー

「環共」の時代、「人」「社会」「地球」の調和に向けて何をなすべきか?
~自然・先人・未来人の声なき声に耳を傾ける~

主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会  
会場協力:株式会社 電通

「環共」の時代、「人」「社会」「地球」の調和に向けて何をなすべきか?<br>~自然・先人・未来人の声なき声に耳を傾ける~

2026年を迎えます。2030年まで4年となりSDGsの次なるアジェンダ候補「SWGs(Sustainable Well-being Goals)」が、「日本版Well-being Initiative」から さきの大阪・関西万博にて発表されました。
「SWGs」は個人の幸福感や生きがい、社会的なつながりといった「ウェルビーイング」を追求することが目的であり、そのキーワードは「人」「社会」「地球」の調和です。
開発や成長をゴールとしない社会において、企業は何を目指して事業を進めるのか。人口減少を前提とした地域や地方の「ウェルビーイング」に向けて、どのような視点が必要なのか。
2026年の冒頭にあたり、造園家、東京都市大学 学長付特任教授であり2027年横浜で開催予定のGREEN×EXPO2027 ラボ チェアパーソンである涌井史郎さんにご登壇いただきます。涌井さんは、今という時代を「農業革命」「産業革命」に次ぐ人類第三の革命「環境革命」の時代と捉え、地球環境問題、とりわけ生物多様性を重視した人と自然の共生を目指した持続的未来に向けた戦略的方向を探求しておられます。造園に端を発し、環境問題、グリーンインフラの第一人者として、従来より「人」「社会」「地球」の調和を探求してきた涌井さんに、調和を前提としたまちづくり、地域活性には、どのような視点が必要か、企業として個人として今必要なアクションとは何か といった観点からお話いただきます。
これからのサステナビティ経営、そして個人の生き方の指針として、是非多くの皆さまにご参加いただきたいセミナーです。奮ってご参加ください。

開催概要

画像をクリックするとチラシをご覧いただけます。

日時:

2026年1月28日(水)15時 ~ 17時
(14:40 受付開始)

形式:

対面開催(オンライン配信・アーカイブ配信はありません。)

会場:

株式会社 電通 (東京・汐留)

<所在地>
東京都港区東新橋1-8-1 電通本社ビル

<最寄駅> 
◆ JR「新橋駅」
「南改札」「汐留地下改札」を出て、「汐留シオサイト地下歩行者道」経由、改札口から徒歩4分
◆ 東京メトロ銀座線「新橋駅」
「JR・ゆりかもめ方面の改札」を出て、「汐留シオサイト地下歩行者道」経由、改札口から徒歩5分
◆ 都営地下鉄浅草線「新橋駅」
「汐留方面の改札」を出て、「汐留シオサイト地下歩行者道」経由、改札口から徒歩3分
◆ 都営地下鉄大江戸線大江戸線「汐留駅」
「5・6番出口方面の改札」を出て、徒歩1分

<案内図>
こちら をご参照ください。(株式会社電通のHPに移動します。)

定員:

対面 70 名 
・お申込み締切:2026年1月26日(月)
・定員に達し次第締め切らせていただきます。

参加費:

一般 5,000円
会員 2,000円
学生 1,000円

※ お二人以上で参加される場合も、必ずお一人ずつお申し込みください。
※ 会員とは、当協会 会員企業 の役職員 および 個人会員(年会費12,000円)のみなさまです。
※ 当日のキャンセルにつきましては、キャンセル料として参加費全額を申し受けます。
  すでにお支払い済みの場合も、返金や別の開催日への充当ができませんので、ご了承ください。


登壇者:

涌井 史郎(わくい しろう)さん

造園家、東京都市大学 学長付特任教授、GREEN×EXPO2027 ラボチェアパーソン
1945年神奈川県鎌倉市生まれ。造園家として多摩田園都市等のまちづくり、沖縄宮古島リゾート計画等の多岐に亘る作品群を送り出し、一方、国土の中で脆弱な方向に傾きつつある農山村などの活性化について自然資本財としての価値やグリーンインフラとして捉えなおすことを提唱。大学教員の傍ら地方博に携わり「2005年愛・地球博」の会場演出総合プロデューサーを務めた。また「首都高大規模改修検討会」や国土交通省、環境省、農水省の各種委員会や懇談会の委員長や座長を歴任。現在は2027年横浜市上瀬谷で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」のラボチェアパーソンの立場から開催計画の推進に力を入れている。
これらの活動に対し「日本造園学会賞」「土木学会賞」「国土交通大臣表彰」「黄綬褒章」「仙台市特別市政功労者賞」等を授与され、マスコミでもTBS「サンデーモーニング」、BS-TBS「関口宏の一番新しい江戸時代」などでコメンテーターを務めるなど、多方面で活躍。

【著書】
  「景観創造のデザインデベロップメント」(綜合ユニコム)
  「景観から見た日本の心」(NHK出版)
  「奇跡と希望の松~なぜ一本の松だけが生き残ったのか」(創英社・三省堂書店)
  「いなしの智恵~日本社会は「自然と寄り添い」発展する」(ベスト新書)

開催報告

2026年1月28日に開催。今回は「新春特別セミナー」と題して、涌井史郎さんにご講演いただきました。対面形式だけの回でしたが会場には50名を超す多くの皆さまにご参加いただきました。以下に内容を報告します。

講演内容

涌井史郎さん

「環共」の時代

われわれの生命基盤である環境について「共に考える」という意味で、「環共」という漢字を当てている。地球環境に関するさまざまな問題を人類が抱えたうえで、地球の構成員である個々人が心身ともに健康で幸福を感じられるウェルビーイングな社会を形成するために地球や環境をどう考え、何をなすべきかを、今一度考える必要がある。

プラネタリーバウンダリーとNbS

いまや地球環境は、人類の生産活動によって取り返しのつかない段階に近づいている。最近では地球の限界を示す「プラネタリーバウンダリー」という言葉が聞かれるようになった。これまでに経済活動による地球の歪みを規制するための国際的な取り組みとして、気候変動枠組条約などの条約が制定されてきたが、新たにNbS(Nature-based Solutions※1)の考え方に立ち返るべきだ。自然環境を開発のための資源として捉えるのではなく、環境保全・自然災害などの社会課題を自然に根差して解決するための資本財として捉える必要がある。私たちの食べるもの、着るものは生物の犠牲と地球の恩恵の上に成り立っていることを忘れてはならない。

エコシステムへの順応

人類がエコシステム※2という恩恵により生存している以上、自然環境との共生は避けられないものとして考える必要がある。個人の健康を維持するためには、われわれが生活する地域が健康でなければならないし、地球自体の健康も良好でなければならない。人類が地球に与える負荷が結果的に自然災害を激化させ、われわれに負のダメージを与えるリスクとなっている。最近では人類が環境悪化への対応を怠ったために、野生の熊が市街地へと出没するようになった。生物多様性の保全や二酸化炭素の排出削減などを人類全体の問題として捉えることはもちろん、特に先進国同士が協調して、環境悪化による負の影響を受けやすい地域や国々への被害を減らす取り組みを主導すべきである。

ウェルビーイングな社会の構築へ

会場の様子

人類の生活が豊かになったことで個々人の自己実現欲求は満たされるようになったが、かたや地球環境を歪ませたことによる代償として「身体的な健康」や「精神的な充実」「社会的つながり」が脅かされる事態が生じている。真にウェルビーイングな社会を形成していくためには、自然環境と人類が「ワンヘルス※3」の状態に置かれることが大切である。日本の歴史は自然との共生と適応の賜物であり、自然災害と対峙するだけでない「柳に風(逆らわずに受け流すこと)」の文化がある※4。自然をも取り込んだグリーンインフラ※5の活用こそ、自然環境そのものと地域のコミュニティの力を借りたウェルビーイングな社会の理想形である。公的・私的なスペースの中間に存在するセミパブリックなコミュニティの場(「共」)があるかないかで、われわれのウェルビーイングが決まる。従って、自然環境を媒介にした人間の手入れの場こそがこれからの「環共」の場となりうる。

※1 健全な自然生態系が有する機能を活かして社会課題の解決を図ること。
※2 生物とそれを取り巻く環境の相互作用。
※3 人間・動物・環境の健康を一体として捉えること。
※4 静岡県袋井沿岸部には、高潮被害から身を守るために、江戸時代の村人たちによって築造された人工の築山(命山)が、今もなお地域住民に守られながら現存している。
※5 自然環境の機能を社会におけるさまざまな課題解決に活用すること。

参加者の感想

  • 現在の危機的状況を分かりやすくお話いただき、改めて今できることをやっていかなければならないとの思いを持つことができました。笑いも交え、引き込まれる講義でした。
  • 年齢・立場などに関係なく、いつまでも世の中の動きに関心を持ち続けることの重要性を再認識させられました。
  • 体系立った知識整理や歴史的背景のご説明から、里山における野辺・野良の生物多様性の観点での貴重性、さらにはグリーンインフラによる問題解決に向けた挑戦の重要性についてお話しくださったこと、心に残りました。

これからの「環共」の時代、人と地域社会それぞれの立場で出来ることのヒントをお持ち帰りいただけましたでしょうか。また、今回のセミナーがご参加いただいた皆さまの新たなつながりの場となりましたら幸甚です。


事務局:

公益社団法人日本フィランソロピー協会
担当: 三宅 玲子(みやけ れいこ)、宇都宮 晴子(うつのみや はるこ)
TEL: 03-5205-7580 FAX: 03-5205-7585

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