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贈呈理由
まちかどのフィランソロピスト賞 大川 瑜美子 氏
兵庫県芦屋市在住
大川 瑜美子さん(兵庫県芦屋市)―社会福祉法人日本聴導犬協会への寄付や支援を2002年から継続。
大川瑜美子さんは、社会福祉法人日本聴導犬協会(本部・長野県上伊那郡宮田村)への寄付や支援を2002年から継続している。設備購入のための寄付に加え、自宅の一部を提供し、同協会の関西支部として活用されている。 きっかけは、薬剤師として病院を経営する夫を支え、二児を育てるという超多忙な長年の生活が、10年ほど前に夫の急逝で断たれたこと。虚脱感、喪失感で茫然自失の状況を見かねた友人の勧めで地域のライオンズクラブに入会し、ボランティア活動をスタートさせた。 そこで7年前に聴導犬協会の活動を知り、会長やスタッフ、犬たちの活躍ぶりに胸を打たれた大川さんは、寄付とともに自宅提供を申し出た。同協会はそのおかげで、全国規模の団体として法人格を得ることができた。寄付をすることで得られたつながりと生きがいに、「感謝」の言葉を連発する大川さんの素直な喜びに満ちた笑顔が、同協会のスタッフに力を与え、よりよい活動の原動力にもなっている。自宅を団体の事務局などに提供するという寄付の形は、今後の支援のあり方の良きモデルにもなるものである。大川さんの “感謝する力”が、託される団体、受益者の心を興し、そのつながりがさらなる力になるという好循環は、まちかどのフィランソロピストのひとつの理想形を体現したものとして、賞賛に値する。まちかどのフィランソロピスト賞 濱崎 一途 氏
高知県高知市在住
濱崎 一途さん(高知県高知市)―濱崎一途さんは、2004年10月より児童養護施設をはじめ、高知県内の同様の施設へ、毎年一施設ずつ、10万円分の書籍や本棚、スポーツ用品などを寄贈。
濱崎一途さんは、2004年10月より高知市帯屋町の路上で詩を作成、それを筆で色紙に書いた作品を販売しており、2005年からは、その売り上げから、自身が11年間過ごした児童養護施設をはじめ、高知県内の同様の施設へ、毎年一施設ずつ、10万円分の書籍や本棚、スポーツ用品などを寄贈している。 自身が施設で育ったことに引け目を感じていた濱崎さんであったが、会社員生活時代にかけられた「苦労したんだね」という言葉をきっかけに心が溶けたという。 施設に入るまでの辛い時期を思うと、むしろ施設での生活への感謝の念がふつふつと湧いてきた濱崎さんは、あるスポーツ選手が自分の育った施設に寄付をしたという新聞記事を読み、自分にも何かできることがないかと考えるようになった。その後、路上詩人の先駆者である軌保博光(のりやす・ひろみつ)氏の書籍に出会い、独学で詩作を開始、軌保氏ご本人から背中を押され、路上での詩作活動をスタートした。 濱崎さんのこの生きざまは、今日、増え続ける不遇な子どもたちに対して、それを跳ね除け、むしろ自らの力として生き抜くことへのエールを贈るものとして、まちかどのフィランソロピスト賞にふさわしいものである。
特別賞 岩隈 久志 氏
岩隈久志さんは、2008年には両リーグ23年ぶりの21勝を挙げる投手三冠を果たし、2009年の第二回ワールドベースボールクラシックでは日本連覇の立役者の一人として活躍した現役野球選手である。 大阪近鉄バファローズ在籍中の2002年から児童養護施設訪問を続け、2005年に東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍後は、毎年宮城球場に年間シートを10席購入し、養護施設の子どもたちを招待している。夫人が結婚前に保育士を目指していた影響も大きく、環境に恵まれない子どもたちへの支援を惜しまずに続けている。 また、知り合いからNPO法人「ハビタットフレンズ仙台」を紹介され、2007年から1勝ごとに10万円を寄付している。2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震では、その直後の交流戦でのMVP獲得賞金100万円全額を被災者に寄付。同年8月には、スマトラ沖地震で被害を受けたタイの学校に30万円を寄付し図書館を建設した。 岩隈さんの幅広い社会貢献活動は、野球ファンのみならず、多くの若者に、自分の仕事や暮らしの中での寄付が、結果的に自分自身の力になっていくことを示すさわやかな好事例として、賞賛に値するものである。
青少年部門賞 新発田中央高等学校 吹奏楽部
新潟県新発田市
青少年部門 新発田中央高等学校 吹奏楽部―演奏会の収益金を地元新発田市、社会福祉協議会、児童養護施設、障害者施設、高齢者施設等へ寄付
新発田中央高等学校吹奏楽部は、チャリティー・キャンペーンとしての演奏会の収益金を、1981年から地元新発田市、社会福祉協議会、児童養護施設、障害者施設、高齢者施設等へ寄付し続けている。
毎年12月に開催される演奏会の入場料、パンフレット協賛広告代、また同会場でのバザー売上げ、募金をすべて寄付金とし、28年間の累計額は1000万円を超える。
きっかけは、吹奏楽部自体が、保護者の「寄付」による楽器購入で発足できたことにある。その後、部員たちから自発的に「社会のためになることをしよう」という声があがり、現在まで続いている。
この活動は、質の高い演奏を地元の人に聴いてもらい、多くの人から寄付を集めて地元へ貢献することを目的にしている。そこには、生徒の自発的な意思を土台に、学校や教師、親の支援、行政や地域住民、卒業生の協力が存在する。
部活動の一環として始まった寄付が、同校の文化として定着し地域全体に広がっていくプロセスは、本来、青少年が持つみずみずしい感性と実直な行動が、まっすぐに周囲の人の心に入り、共感を得ることを示すものであり、同時に全国の青少年に力強い勇気を与えるものとして、まちかどのフィランソロピスト賞青少年の部・部門賞にふさわしいものである。
選考委員
* 選考委員長 *
- 四方 洋(町田市民病院事業管理者・元サンデー毎日編集長)
* 選考委員 * (敬称略/50音順)
- 東 富彦 (日本電気株式会社)
- 大坂 葉子 (キッコーマンビジネスサービス株式会社)
- 中川 康 (関西電力株式会社)
- 中島 健三 (大阪ガス株式会社)
- 畠山 礼光 (株式会社リコー)
- 高橋 陽子 (公益社団法人日本フィランソロピー協会理事長)