三木秀夫さんは、1945年(昭和20年)帯広市内の農家に生まれ、中学卒業後、洋装店で奉公、27歳で独立。現在は紳士服店「ダン」(同市西三条南17)を営む。
1981年から30年間、帯広市の児童養護施設「十勝学園」(荒岡健司園長)に、毎月3,000円の商品券を贈り続けている。36歳の時、同学園の前身「平原学園」の新聞記事を読んだのがきっかけ。資金難から子どもたちの文房具すら不足していることを知り、「自分にできることはないか」と思い立ち、「運動会、頑張りましたか」などのメッセージと共に,匿名で送り続けてきた。 家族にも知らせずに続けてきたが、昨年、学園の荒岡園長が初めて訪ねてきた。これまで封書には住所や連絡先を記していなかったが、再利用の私製封筒を荒岡園長が裏返してみたところ、同店の店名と住所を見つけ三木さんと判明した。その後、子どもたちとの交流も実現した。 「生きている限り、続けていこうと思う。自分は親や師匠に恵まれここまでこられた。施設の子どもたちが、自分たちを見てくれているおじさんがいるのだと思ってくれれば」と話す。 近年、さまざまな事情から親と暮らすことのできない子どもが増えている。毎月、メッセージとともに届けられる寄付は子どもたちにとって、かけがえのない宝物である。この子どもたちへの温かく力強いエールは、まさに「まちかどのフィランソロピスト賞」の真髄を体現したものとして称えたい。
高嶋早由紀さんは、加古川市在住の母親グループ「Si-me(シーメ)」の代表を務める。グループ名は「幸せの芽」の略称で、「困難にある人々が少しでも幸せになれるように、自分たちの活動が、その小さな芽になりたい」という思いでつけたもの。同じ社宅に住む母親やその友人ら約20人と一緒に、2008年に発足した。
高嶋さんは4児の母親で現在5児目を妊娠中。育児のスタートは2001年、壮絶なつわりを経て生まれてきた子どもは重度の食物アレルギー、アトピー、喘息。日々格闘する一方で大切な友人との出会いがあり、それらの経験から周りへの感謝、命のかけがえのなさを実感するようになったという。 特技の水彩画を活かして、赤ちゃんのイラストにひと言を添えた「赤ちゃんカレンダー」を作ったのが2005年。売り上げから子ども関連の民間団体への寄付を始めた。年々部数を伸ばし、グループの活動へと発展。これまでの総販売部数は1万5,000部を超え、寄付総額は、180万円に上る。「買うことで社会貢献ができる」「辛いことがあっても励まされる」などの共感を呼んでいる。 密室育児という言葉が注視される昨今、仲間とともに自然体で示す母親の愛は、多くの子供たちへの愛であるだけでなく、戸惑う母親たちへの慈しみでもある。いのちへの讃歌としての活動は、「まちかどのフィランソロピスト賞」のこころを体現するものとして高く評価できる。
村木厚子さんは1955年(昭和30年)高知県に生まれる。厚生労働省入省後は、4人目の女性局長として雇用均等・児童家庭局長、内閣府政策統括官などを歴任し、現在は社会・援護局長を務める。障害者問題をライフワークと述べ、人事異動で担当を離れた後も福祉団体への視察を続けるといった仕事への姿勢は省内外で知られる。
2009年、身に覚えのない不正事件(障害者郵便制度悪用事件)で逮捕・起訴され、約半年に及ぶ拘置所生活を余儀なくされる。翌年、大阪地裁で無罪判決を受けるも、突然逮捕される驚き、取調べで思いを正確に伝え、調書に記載してもらうことの難しさ、膨大な資料を理解し訂正していくことの重圧…などの経験から、受刑者の4分の1はいるとも言われる障害者に対し、適正な刑事司法を進めるための援助・制度が必要だと思うに至った。 2012年2月、国からの賠償金3,770万円のうち裁判費用を除いた3,330万円を、社会福祉法人南高愛隣会(長崎県雲仙市/田島良昭理事長)に寄付することを表明。同会は3月、「共生社会を創る愛の基金」を創設し、障害者が取り調べを受ける際の権利を守り、社会復帰を進める活動の支援に充てる。 想像もしなかった過酷な経験すらも社会の役に立てようとする前向きな力、法制度の谷間にある人への支援は、一人ひとりに社会を創るかけがえのない主体として役割があるというフィランソロピー精神を表すものとして、高く評価したい。 |
日 時 | 2012年12月6日(木)15:00~19:00 |
会 場 | 学士会館 2階202号室 <所在地> 東京都千代田区神田錦町3-28 <案内図> こちら をご参照ください。 |
プログラム | ・15:00~16:00 贈呈式 ・16:00~17:30 受賞者のお話/受賞校の活動発表など ・17:30~19:00 懇親会(軽食) |
お問合せ | こちら から。 |
第15回 『まちかどのフィランソロピスト賞』 実施要項 | |
賞の目的 | ~日本の寄付文化醸成をめざす~ 社会のためのボランティア活動に参加する人が多い一方で、見過ごされがちではありますが、社会の役に立ちたいという思いを込めて寄付を行なう人も決して少なくありません。 こうした寄付はフィランソロピーと呼ばれ、米国ではたいへん盛んですが、日本では寄付に対する評価はまだまだ低く、寄付した人も目立ちたくないとか、「陰徳」こそが好ましいといった価値観に支配されやすく、寄付金に対する税制優遇措置が極めて未整備なこともあり、寄付の実態がよく分かっておりません。 こうした中で、当協会では、さまざまな思いや心あたたまるエピソードを秘めた寄付を広く紹介し、日本にも寄付の文化が育つことを願って、1998年(平成10年)に 本賞を創設しました。 また、2005年(平成17年)からは、<青少年部門>を設けました。少年期・青年期における体験や教育を通じて、次代を担う若者の寄付活動を推奨し、青少年の豊かな心の育成と、社会参加の輪が広がっていくことを願っています。 (青少年部門は2010年より『青少年フィランソロピスト賞』(文部科学省後援)として拡充し開催しております。)
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贈呈対象 | <一般部門>
・社会のために私財を投じた個人またはグループ<青少年部門>
・「青少年フィランソロピスト賞」(文部科学省後援申請中)として・・開催いたします。 |
対象期間 | 2002年(平成14年)1月1日から現在 |
応募方法 | 当協会所定の推薦書用紙にご記入の上、ご送付ください。 推薦書用紙のダウンロードは、こちら から。 (但し、他薦に限ります。) |
応募締切 | 2012年6月25日(月)消印有効/募集は終了しました。 |
選考方法 | 書類審査および訪問調査(ヒアリング) |
選考基準 | ・フィランソロピー精神(人類愛)から生まれた寄付であるもの ・社会のために役立つ寄付であるもの ・寄付にあたって人々を感動させるエピソードがあるもの |
贈呈品 | 賞状のみ(賞金はありません) |
贈呈式 | 2012年12月、東京にて開催予定 |
選考委員 | ・内田 貴 氏 株式会社 リコー ・阪井 嘉英 氏シャープ株式会社 ・中島 健三 氏大阪ガス株式会社 ・中村 文代 氏プルデンシャル生命保険株式会社 ・松本 明 氏大和ハウス工業株式会社 |
お問合せ | 公益社団法人日本フィランソロピー協会 『まちかどのフィランソロピスト賞』事務局 〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244 TEL:03-5205-7580 FAX:03-5205-7585 E-mail: こちら のお問合せフォームをご利用ください。 |