30周年記念シリーズ開催報告

Date of Release:2021.12.22
30周年ロゴ
総合テーマ
 
記念フォーラム1

チラシをクリックすると
ダウンロードできます。
30周年記念シンポジウムチラシ
・日時:2021年11月17日(水)15:00~17:00
 
・方式:オンライン
 
・プログラム:【開会ごあいさつ】
              高橋 陽子    公益社団法人日本フィランソロピー協会理事長
       【第1部】日本フィランソロピー協会の活動紹介
              企業従業員のためのボランティアマッチング
 
       【第2部】パネルディスカッション「組織の中で個人を生かす」
<パネリスト>
  嵯峨 生馬 さん
  濱松 誠 さん
<モデレータ>
  長島 剛 さん
<パネリスト>
認定NPO法人サービスグラント代表理事
ONE JAPAN 共同発起人・共同代表
<モデレータ>
多摩大学 経営情報学部教授
 
 
 
パネルディスカッション
パネルディスカッション「組織の中で個人を生かす」
嵯峨 生馬 さん
濱松 誠 さん
長島 剛 さん
 
長島 健全な民主主義社会の形成のためには、一人ひとりの社会参加が不可欠です。地球環境問題やSDGsへの取り組み、ESG投資の機運などを背景に、企業として、社会課題への関心や解決への取り組みが活発になる中、企業に属する〝個〟は、どう関わるべきなのか。その意義と可能性についてパネリストのお二人とともに考えます。まずは、それぞれの活動についてお聞かせください。
プロボノという社会参加の仕方 ─ 認定NPO法人サービスグラント
嵯峨生馬さん
嵯峨 生馬 さん
嵯峨 「プロボノ」とは、ラテン語の「Pro Bono Publico」(公共善のために)からきており、専門的なスキル・経験等をボランティアとして提供し、社会課題の解決に寄与することを指します。認定NPO法人サービスグラントは、「社会参加先進国へ」をビジョンに、プロボノワーカーと支援先とをつなぐ中間支援組織として2005年に設立しました。現在、7,100人以上のプロボノワーカーが登録しており、社会課題解決に取り組むNPO・地域団体などの基盤強化につながる〝成果物〟提供しています。例えば、ウェブサイト構築、業務フロー設計、事業計画立案といったことに携わるのですが、日々の仕事との親和性が高いため、30歳代~40歳代の働き盛りも関わりやすいのが特徴です。
 
個人のボランティア活動として参加する方も多いですが、プロボノを通じた人脈作りや社会感度の向上といった人材育成、ならびに組織への好影響を期待し、企業のプログラムとして導入するケースが増えました。2011年からプロボノプログラムを実施している パナソニック株式会社のアンケート調査 では、仕事への取り組み姿勢の向上、スキルアップのきっかけになるなど、本業に与えるいい影響について数値化することができ、組織の中の個としての社会参加活動がもたらす好循環を実感しています。
企業内有志のコミュニティで挑戦の文化をつくる ─ ONE JAPAN
濱松 誠さん
濱松 誠 さん
濱松 ONE JAPANは、大企業に所属する若手・中堅社員にとって「辞める」か「染まる」かしかなかった選択肢に「変える」を加え、仲間を集め、希望を見いだし、行動するコミュニティとして2016年に設立しました。現在、55社3,000人が集い、価値づくり(VALUE)、人・土壌づくり(PEOPLE)、空気づくり(CULTURE)の3つのアクションを通じ、日本の大企業から「挑戦の文化をつくる」ことをミッションに活動しています。
 
ONE JAPANの活動には「つながり」と「越境」が不可欠です。活動に参加するためには、まず企業内で仲間を集めることが必須条件ですので、部署や立場を越境して仲間とつながること。そのうえで、ONE JAPANの活動を通じ、さらに違う組織とつながり、壁を越えて、お互いの強みを出し合い、社会的課題の解決にアプローチしていく。大企業の〝ユニフォーム〟を着た人々が、大企業のアセットとリソースを活用し、社会のさまざまな課題解決に挑んでいます。
個の挑戦を顕在化し、伴走できる組織に
長島 剛さん
長島 剛 さん
長島 社員のスキルを含む、企業としてのアセットとリソースを地域や社会に還元できるのが、組織の中の個として社会参加することの意義のひとつである。では、個を生かす組織としてはどんなことに取り組むべきでしょうか。
濱松 組織の中で個人を生かすのであれば、個人の「will(意志)」を発掘してほしい。企業の成長を考えると、染まってしまうことが一番のリスクです。まだ染まりきっていない若手・中堅社員が何かモヤモヤとしているのであれば、彼らの「will」を発掘するのが組織の役割です。そして、挑戦する社員の伴走者のような、味方の存在でいてほしいですね。日本社会にありがちな「出る杭は打たれる」風土ではなく、応援してフォローの風を送る。それができるのが、社会感度が高いCSR部門の方々だと思います。
 
さらに、評価と共有は重要です。「プロジェクトを用意しました」「参加してきてください」で終わるのではなく、その成果をしっかり回収し、共有する。時に〝憧れの存在〟として挑戦した社員を評価する。人は、危機感や利益の次に、憧れを動機にするものなので、憧れの存在からのポジティブな情報発信は、まだくすぶっている社員を巻き込んだり鼓舞することにつながると思います。
嵯峨 顕在化は、とても大事だと思います。今、既にボランティアや社会貢献活動をしている社員は、必ず存在していると思うので、まずは、その方たちの活動を可視化するだけでも空気が変わるのではないでしょうか。そして、既に個の力を発揮している方を窓口に、地域や社外とつながりを持つのもいいきっかけだと思います。そこで発見したニーズや課題を会社の戦略に結び付けていけば、財産になっていくのではないでしょうか。
 
社員が社会参加する活動は、CSRを推進していく側としても、社内の味方を増やすことにつながると思います。社員一人ひとりが自分事化することで、社会課題への取り組みへの理解が深まり、結果的にその会社のCSRとかサステナビリティを推進する側になっていく。社員の社会感度を高めて、社会課題解決を推進しようと、いくら組織が旗を振っても社員が付いてこなければ意味がない。現状に満足することなく、さらに参加と賛同の輪を広げることを目指してほしいです。
・このフォーラムは、第387回定例セミナー として開催しました。
「フィランソロピー始動30周年記念フォーラム1開催報告」おわり