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まちかどのフィランソロピスト賞 受賞者一覧

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2001年 第4回受賞者

まちかどのフィランソロピスト賞
栗山 みさを(くりやま みさお)氏

栗山みさをさんは、東京女子大学を卒業後、ガリオア留学生(※)として一年間アメリカに留学。帰国後すぐに結婚し、世界銀行勤務のご主人に伴い、1960年より10年間、アメリカ・ワシントンD.Cで、その後2年間、バングラデシュの首都ダッカで暮らす。

帰国後、スーパーで子どもをおんぶして買い物をしている主婦を見かけたことで、外国では見慣れないその姿に、地域の女性のために何か役立ちたいと、「母親英語教室」への参加を、区報を通して呼びかけた。その呼びかけに、栗山さんの自宅の電話は鳴りっぱなし。特に、戦時中、アルファベットも覚える余裕のなかった世代の母親たちが、学ぶことを渇望している様が手に取るようにわかったという。こうして1975年、「マロン英語サークル」が始まった。ボランティアで始めたことなので、最初の7年間は無償で教えていたが、生徒からの強い要望で、8年目から月 会費を1,000円、その翌年から2,000円を受け取るようになる。そして、その会費は全額、 その時々の要望に合わせて複数の団体に寄付し続け、26年目の今日、その額は1,700万円にのぼる。

栗山さんをこうした活動に駆り立てた原点には、ガリオア留学生として渡米したことがある。本来は、留学で得たものを、帰国後日本のために役立てる約束になっており、留学生に選ばれた人たちは、学者や役人などが多かったので、学生の自分にチャンスを与えられた幸運に感謝していたものの、帰国後すぐに結婚してしまい、それを果たせずにいたことが、知らず知らずのうちに心のしこりになっていたようだ。また、バングラデシュ滞在中に、大規模の台風があった際、現地邦人は「日本人会」として寄付をしただけだったのだが、西欧人たちは、自分の子どもを背負いながら、率先して怪我人の救助や救援物資を運んでおり、その姿を目の当たりにしたことが、ボランティアに対する意識・姿勢に大きく影響したという。

こうした経験から、社会にお返しする方法はないか、と考えた結果が、女性のための英会話教室だった。栗山さんの思いに共感した女子大の仲間の岡田知恵さん、大西喜和子さん、権平弘子さんらが講師に加わり、その輪は栗山さんの志と共に大きく拡がっていった。

中野の地で、地域の人たちと親しく交わり、庶民の学ぶ心を支え、共に楽しんで、自分のできることで役立ちたい、という自然体で私心のない栗山さんの笑顔は、周りのものをさわやかな風で包んでくれる。

戦後のガリオア留学生の中に植えられた感謝の心が、その聡明さと謙虚さで周りの心を動かし、地域に温かいつながりをもたらすことで、共生の精神として新しい時代に受け継がれている。国際性とは、地域での暮らしの中で生かされて初めて真に根づくものであることを示している。地域に暮らす人々と共にあることを無上の喜びとする栗山さんを、「まちかどのフィランソロピスト」として称えることは,新しい世紀の始まりにふさわしいものであると確信する。

※ガリオア・プログラム: (GARIOA / Government Aid and Relief in Occupied Areas) 米国の占領地域救済基金。1949年から1951年まで実施。その資金により様々な物資の提供の他、人材の交流として約1,000名の日本人が米国へ留学した。

その後、日米二国間の教育交換計画に関する覚書が交わされ、1952年からフルブライト交流計画として日米相互の人物交流が始まった。日本におけるこの交流計画は開始以来、約30年にわたり米国政府からの資金で運営され、1979年12月に日米教育委員会が新たに設立されてからは、日本政府も運営費用を分担するようになった。

現在は、政府資金(両国政府で折半)と日米教育交流振興財団等からの民間資金援助(日本人ガリオア・フルブライト同窓生により設立)で運営され、毎年、約60名の米国人と約70名の日本人の人物交流を実施している。

同窓生は日本人が約6,800名、米国人が約2,000名でその中の多くは今日、教育、行政、法曹、ビジネス、マスコミ等さまざまな分野で活躍している。

栗山さんの主な寄付先〜順不同〜
  • 東南アジア文化友好協会
  • 東南アジア文化友好協会留学生里親制度委員会
  • 中野区障害者福祉振興会
  • 中野区社会福祉協議会
  • 中野区社会福祉協議会を通じて
    • 交通遺児援護基金
    • 盲人福祉協議会
    • 桃園デイクラブ
    • あとりえふあんとむ
  • 虹の会(フィリピン孤児、障害者の教育、自立リハビリなどを援助する会)
  • リウマチ友の会
  • つげの学園
  • (財)東京善意銀行「施設へおむつを贈る運動」
  • 東京サフランホーム
  • 市川房枝記念会
  • NHK歳末たすけあい
  • 東方学術交流協会
  • 中野区ボランティア基金
  • 日本語学級研究会
  • バングラディシュ
  • マイキッチン
  • 中野区福祉団体連合会
  • Amnesty International,Ginetta Sagan Fund(U.S.A)
  • その他 地域の知的障害者を支えるグループ