連続セミナー

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Latest Update:2021.12.17
連続セミナー
第2期(2021年度)
社会課題のリアルを学ぶ~NPOの活動を通して~
~8回シリーズ(予定)
主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会
助成:公益財団法人JKA
2021年度JKA補助事業「児童、高齢者、障がいのある人が相補的に関わることのできる地域共生型社会づくりを促進する活動、調査・研究等」
NPOやソーシャルビジネスは、従来のやり方では対応しきれない、社会の多様なニーズに、先駆的に取り組むことから、改めて注目を集めています。ただ、こうしたセクターは慢性的な資金不足や人手不足という課題を抱えています。そのため、社会経験と人間性を兼ね備えた企業人やシニア層の積極的な参画が期待されています。
 
本連続セミナーでは、社会のために自らを役立てたいと願う企業人、シニア層が、社会貢献活動を始める前段階として、社会課題の実情を知る機会を提供します。また、どのような場面で、社会人の参画が求められるのかを理解することで、実際に参画していくきっかけを見つける場ともなります。
2021年10月から2022年2月にかけて全8回のセミナーを予定しています。
開催方式:
ビデオ会議システム『Zoom』を使ったオンラインで開催いたします。
『Zoom』は無料でご利用いただけるシステムで、当協会から事前にお知らせするURLをクリックするだけで参加可能です。『Zoom』への接続方法は、お申込みいただいた方に別途ご連絡いたします。
 
参加費:
無料
プログラム
各回の内容および講師は変更する場合があります。
 
 
開催終了
 
開催終了/2021.1.30
<第3回>
日時:
2021年11月24日(水)18:00~18:45(17:45開場)
※講演30分、質疑応答15分
テーマ:
居場所のない10代後半の子どもへの支援について ~子どもシェルターてんぽの活動を中心に~
講師:
特定非営利活動法人子どもセンターてんぽ 
子どもシェルターてんぽ ホーム長 
 
キャラクターぽんた
※シェルターの特性上、入所している子どもたちの危険につながるおそれがあるため、講師のご意向によりお名前と写真は掲載いたしません。
 
<講師からのメッセージ>
「子どもシェルター」という言葉を耳にしたことはありますか。数年前にテレビの深夜帯で「さくらの親子丼」(フジテレビ系列)というドラマが放映され、少しは世間に知られたかと思いますが、子どもシェルターは全国に19か所しかありません(2021年10月現在、稼働している数)
 
親からの虐待など、様々な理由により家で生活することが辛くなった時に、いったん家を離れ、安心して生活ができる場所を見つけるまで、短期間利用できる場所が「子どもシェルター」です。18歳未満であれば、児童相談所の一時保護所がありますが、18歳以上の子どもは利用できません。
 
そこで、主に10代後半の子どもを対象に支援をしている当法人の活動を、シェルターを中心にお話しさせていただきます。そうして、まずは現状と課題をみなさまに知っていただき、少しでも支援の輪が広がっていきましたら、こんなにうれしいことはありません。
 
<講師プロフィール>
これまで約30年にわたり、民間および公立の児童福祉施設で、子どもたちの生活や相談支援の業務を担ってきました。そして、2017年より「特定非営利活動法人子どもセンターてんぽ」のシェルターにて、居場所のない10代後半の子どもを対象に、彼らの意思を尊重しながら、子ども担当弁護士や児童相談所などの関係機関と一緒に、シェルターを退所した後の生活場所を考える活動をしています。
 
<特定非営利活動法人子どもセンターてんぽ とは>
現在、「特定非営利活動法人子どもセンターてんぽ」は、3つの事業を行なっています。
 
(1)シェルター事業
2007年に「子どもシェルターてんぽ」を設立し、2013年からは児童福祉法上の児童自立生活援助事業として、様々な理由で居場所のない主に10代後半の子どもを対象に、安心・安全な場を提供し、今後の生活について利用者と一緒に、スタッフや子ども担当弁護士、児童相談所等の関係機関等と連携しながら考えています。所在地は秘匿です。
(2)居場所のない子どもの電話相談事業
2008年に法人の自主事業として、専用電話による電話相談事業を開始しました。居場所のない10代後半の子どもに関する相談が多く、シェルターを含む緊急一時的な滞在先などの情報提供も行なっています。従来は、月・水・金の13時から17時までの開所でしたが、2021年からは、月から金まで同時間帯の開所に拡充しました。
(3)自立援助ホーム事業
2010年から児童福祉法上の児童自立生活援助事業として、神奈川県南足柄市に「みずきの家」という名称で女子6名定員の自立援助ホームを運営しています。原則中学卒業後から20歳(一部22歳)までの女子を対象に、安心・安全な生活環境の中で、彼女らが就労や就学しながら、自立のための準備ができるよう支援しています。
 
子どもセンターてんぽ・ウェブサイト:http://www.tempo-kanagawa.org/
 
 
開催報告
講演要旨:

いずれの画像もクリックすると拡大します。
子どもセンターてんぽは、「子どものシェルター運営事業」、「居場所のない子どもの電話相談事業」、「自立援助ホームみずきの家運営事業」を中心に活動しています。電話相談は、本人だけでなく、友人・知人やスクールソーシャルワーカー、養護教諭、役所や児童相談所などからも多いといいます。
 
子どもシェルターは、「居場所のない10代後半の子どもたちのSOSを受け止め、安全を確保しつつ、子どもが直面している問題やこれからの生活について、一緒に考えていくところ」。親からの虐待で家にいるのがつらい子どもたちが、家を出て、今後の生活を考える場所です。子ども担当弁護士、児童相談所や役所の女性相談など、多くの人たちが関わります。
 
てんぽで支援しているのは、1)安全な居場所と個室の提供、2)温かいご飯の提供、3)病院等の受診同行、4)次の居場所を一緒に考え、退所すること、5)自立のための支援となっています。
 
子どもシェルターの利用期間は原則2か月。利用は男女問わないものの、2020年度は14人の新規入所者全員が女子でした(性被害にあった子どもが入所している場合などは男子の入所を断らざるを得ない事情があるため)。入所時の年齢は19歳が6人、18歳が5人、16歳が3人。
 
子どもたちとの約束は、てんぽの場所や他の利用者に関する個人情報は絶対に秘密にする、近所の人や他の利用者に迷惑をかけない、携帯電話は原則預かる、原則ひとりでは外出できない、退所は自由だが、黙って出て行かない、などです。
 
スタッフは常勤が3人のため、ボランティアは子どもたちに寄り添い、見守る大人として重要な支援者となります。
 
退所後の行き先は、自立援助ホーム(10代後半の子どもが就労や就学しながら、自立の準備をする施設)が最も多く、ほかに家に戻ったケースや、児童養護施設、里親家庭、女性保護施設に移ったケースがあります。
 
入所する子どもは、「大人や社会への不信感が強い」傾向にあり、ほめられたことが少ないため、「自己評価が低く」、「対人関係が苦手」な子どもが多いとされます。「愛されたい」という思いが非常に強いため、スタッフは“自分は大切にされている”という実感を子どもたちにもってもらうことを心掛けています。
 
ボランティアの人柄や社会経験にふれて、子どもたちは社会性を広げることができるとのことです。また、批判せずに話を聞いてくれるボランティアの存在は子どもの救いとなります。
 
年に2回、「ボランティア養成講座」を開催しているので、受講して、子どもの支援に加わっていただきたい、そして、子どもセンターてんぽの会員になって経済的支援をしてもらえるとありがたいということです。
 
この日のセミナー参加者の身近に、居場所がなくて困っている子どもがいたら、てんぽの電話相談のことを教えてほしいと強調しています。(居場所のない子どもの電話相談:TEL 050-1323-3089)。虐待を受けてつらい思いをしている子どもたちがたくさんいる実情や、子どもシェルターの存在を周囲の人たちに伝えていただけたらありがたいとセミナーを締めくくりました。
以上
 
 
事務局:
公益社団法人日本フィランソロピー協会
担当: 大倉 寿之(おおくら ひさし)、宮本 栄(みやもと さかえ)
TEL: 03-5205-7580 FAX: 03-5205-7585 Emailは こちら から。
「社会課題のリアルを学ぶ~NPOの活動を通して~」おわり
受付開始:2021.10.11
セミナー開催:2021.11.24
開催報告掲載:2021.12.17
最終更新:2021.12.17