連続セミナー

Latest Update:2022.3.18
連続セミナー
第2期(2021年度)第8回
社会課題のリアルを学ぶ~NPOの活動を通して~
~8回シリーズ~
主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会
助成:公益財団法人JKA
2021年度JKA補助事業「児童、高齢者、障がいのある人が相補的に関わることのできる地域共生型社会づくりを促進する活動、調査・研究等」
NPOやソーシャルビジネスは、従来のやり方では対応しきれない、社会の多様なニーズに、先駆的に取り組むことから、改めて注目を集めています。ただ、こうしたセクターは慢性的な資金不足や人手不足という課題を抱えています。そのため、社会経験と人間性を兼ね備えた企業人やシニア層の積極的な参画が期待されています。
 
本連続セミナーでは、社会のために自らを役立てたいと願う企業人、シニア層が、社会貢献活動を始める前段階として、社会課題の実情を知る機会を提供します。また、どのような場面で、社会人の参画が求められるのかを理解することで、実際に参画していくきっかけを見つける場ともなります。
開催方式:
ビデオ会議システム『Zoom』を使ったオンラインで開催いたします。
『Zoom』は無料でご利用いただけるシステムで、当協会から事前にお知らせするURLをクリックするだけで参加可能です。『Zoom』への接続方法は、お申込みいただいた方に別途ご連絡いたします。
 
参加費:
無料
プログラム
各回の内容および講師は変更する場合があります。
 
 
開催終了
 
開催終了/2021.1.30
<第8回>
日時:
2022年2月24日(木)18:00~18:45(17:45開場)
※講演30分、質疑応答15分
テーマ:
外国にルーツを持つ子どもたちの学び~多文化共生センターの活動を通して~
講師:
枦木典子さん
枦木 典子(はぜき のりこ)さん
特定非営利活動法人多文化共生センター東京 代表理事
 
<講師からのメッセージ>
新型コロナ感染症の影響で、一時的に減少しているとは言え、日本に住む外国籍の人たちは288万人(令和2年)を超え、全人口の約2.3%となっています。同時に、外国にルーツを持つ子どもたちの数も増加し、教育や生活面等でさまざまな困難に直面しています。
学ぶ場所につながらない不就学の子どもたち、学校に入っても十分な日本語指導体制がないため、不登校になり、学力をつけられないまま卒業する子どもたち、在留資格により、自立した社会人としての生活を確立できない若者など、多くの課題があります。
当団体では、日本語や教科を学ぶ場としてのフリースクールを運営し、学ぶ場のない外国にルーツを持つ子どもたちを高校進学へとつなげてきました。また、土曜日には、学生、現役社会人、経験豊かなシニアの皆さんが参加して、子どもたちの学びと居場所づくりの活動を行なっています。国籍や言語、文化の違いを尊重し、認め合う社会を担っていく子どもたちがその可能性を発揮できるよう、今回をきっかけに、みなさんに関心を持っていただき、つながっていただけますと幸いです。
 
<講師プロフィール>
長野県松本市出身。小学校教師を務めたのち、多文化共生センター東京の活動に参加。 2006年より「たぶんかフリースクール」で日本語や教科を担当し、学齢超過の子どもたちとふれ合いながら、高校進学をサポートする。2015年4月より代表理事。多文化で多様な個性をもつ外国ルーツの持つ子どもたちが、その可能性をいかせるよう取り組んでいる。
 
<多文化共生センター東京とは>
外国にルーツを持つ子どもたちの教育支援の活動を20年に渡り実施しています。学ぶ場のない学齢超過の子どもたちのための「たぶんかフリースクール」の運営、多言語による情報提供、行政との協働による中学生日本語初期指導教室、さらに、高校支援事業として多文化共生スクールコーディネーターの派遣など、外国にルーツを持つ子どもたちが置かれている厳しい状況を改善するための活動を行なっています。
 
多文化共生センター東京・ウェブサイト:https://tabunka.or.jp/
            ・Facebookページ:https://www.facebook.com/tabunkatokyo/
            ・Twitter:https://twitter.com/tabunka_tokyo
【おことわり】このページの文章表現および語句表記は、講師からの原稿をそのまま掲載しています。
 
 
開催報告
講演要旨:

どの画像も、クリックすると拡大します。
特定非営利活動法人多文化共生センター東京は、外国にルーツを持つ子どもたち(外国籍の子どもや、日本国籍であっても外国に背景を持つ子ども)を対象に、日本で生活し教育を受ける上で抱える課題を解決するために活動しています。例えば、不就学だったり、学校で十分な日本語指導体制がないため、学力不足のまま卒業するといった問題があります。
 
センターでは、「国籍、言語、文化の違いをお互いに尊重する多文化共生社会を目指す」ことをビジョンとして掲げ、「外国にルーツを持つ子どもたちの教育機会の拡大に努める」「外国にルーツを持つどもたちが個性や能力を発揮し、日本で活躍できる教育の実現に取り組む」「国籍、言語、文化の違いを尊重する教育の実現に取り組む」ことをミッションとしています。
 
日本で暮らす外国の人たちと日本社会
日本にいる外国人は288万人(2020年/令和2年法務省)。農業、漁業、製造業、介護事業などに従事し、地域社会をつくる仲間として、私たちの隣で生活しているのです。
 
彼らは「言葉の壁」「制度の壁(在留資格等)」「こころの壁(生活習慣等)」を感じています。言葉の壁は大きく、日本語を十分に習得していないと、制度や生活習慣を理解できず、人間関係で軋轢が生じることがあります。
 
在留資格はさまざまで、就労や活動の制限が特にない資格があれば、「技術・人文知識・国際業務」「家族滞在」「技能実習」などのように制限がある資格もあります。
 
子どもたちは学ぶ場所や機会が得られず、日本語学習プログラムや指導人材の不足、教育や生活情報の取得が困難などの厳しい環境に置かれています。外国籍の子どもも義務教育を受けることができますが、教育を受ける権利の保障が十分ではありません。友人関係がうまくいかず学校で孤立する、価値観の違いで家庭では保護者とのコミュニケーションがうまくいかないといった現状もあります。
 
日本語指導が必要な児童や生徒は、全国に5万人をはるかに超えると考えられています。日常会話だけでなく、教科学習を理解するための学習言語も必要ですが、習得には5~7年間を要すると言われています。
 
センターの活動をご紹介します。
多文化共生センター東京の活動
・たぶんかフリースクール:年齢超過等で中学校に入れない子どもたちや、日本語の初期指導を必要とする子どもたちのために、日本語や教科学習ができる学びの場を提供します。ただ、決まった施設がなく、区から借りた場所を転々としています。
・土日ボランティア活動:土日にはボランティアによって、学習支援や子どもたちの居場所づくりが行なわれています。子どもたちが学生や社会人と交流しながら、日本の地域社会について知る貴重な機会にもなっています。
・企業からの支援:授業料や通学のための交通費、図書・教材費などの資金補助、社員の土日ボランティア参加など、多くのサポートを得ています。
 
子どもたちが地域で育つためには、次の支援が必要です。
・情報提供:外国にルーツを持つ子どもたちが情報を得るのは簡単ではありません。学校を探して学ぶ場所を探していたら、半年もの時間がかかったという例もあります。情報は、多言語ややさしい日本語で発信される必要があります。
・日本語や他教科、進学のための学習サポート:学校だけでなく、地域で学習サポートを担う人材や仕組みが必要です。
・行政との連携:行政に子どもたちの声を届けて、制度改善を呼びかけていくことも非常に大事です。
・高校進学後と卒業後へのサポート:高校進学の壁をなくす学習支援や制度の改善、そして卒業後の子どもたちの可能性を伸ばす仕組みやサポートも必要です。
 
子どもたちのために誰でもできることは、やさしい日本語を使うことです。「明日の運動会は、雨天決行です」と言われても、雨天決行の意味がわかりません。「雨でもやります」と話すことが大事です。
 
外国にルーツを持つ子どもたちはみな、多文化、多言語、多様性にあふれ、社会で活躍できる可能性と力を持っています。たぶんかフリースクールを卒業生し、起業した人もいます。困難な中、諦めないでチャレンジする、元気で明るい子どもたちと一緒に地域を作っていくと考えて、応援していただければ、ありがたいです。
 
講演内容は、こちら から動画でもご覧いただけます。
以上
 
 
事務局:
公益社団法人日本フィランソロピー協会
担当: 大倉 寿之(おおくら ひさし)、宮本 栄(みやもと さかえ)
TEL: 03-5205-7580 FAX: 03-5205-7585 Emailは こちら から。
「社会課題のリアルを学ぶ~NPOの活動を通して~」おわり
受付開始:2021.11.18
セミナー開催:2022.02.24
開催報告掲載:2022.03.18
最終更新:2022.03.18
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