◆パネルディスカッション
子どもたちに引き継ぐ社会を創造する企業・個人のあり方とは
堀田 力(ほった・つとむ)氏
公益財団法人さわやか福祉財団理事長
被災者から出てきた意見を
行政へ繋げる仕事を続けます
新しいふれあい社会の創造を目指し、私は、さわやか福祉財団でボランティア、助け合いを全国に広げる活動をしています。
震災後2カ月くらいは緊急支援期で、緊急物資を運ぶことに集中しました。全国の元気な仲間が現地に入り、時々刻々と必要なものを報告してくれて、湯たんぽ、新鮮な野菜、自転車、電池の要らない懐中電灯など様々なものを送りました。
私自身は少しお兄さんで体力的に厳しいので現地に入らず、朝7時45分から1時間、東京・山手線の各駅前で義援金を集める活動を仲間と一緒に行いました。皆さんから約3,500万円の義援金を預かりましたので、これで復興支援、生活支援を始めています。
宮城県石巻、南三陸、山元町など9つのモデル地区がありますが、津波で相当な部分が流されていますから、これからどんなまちに復興させたいか、被災者に夢を持って、じっくり話し合っていただいています。そして、出てきた意見を行政に繋げて復興計画に生かすという活動をしています。
震災以前から国は「地域包括ケアのまち」に向けて動き出していました。それならこれを被災地でまっさきに実現してもらおうというのが私たちの提言です。ここでは年老いて一人暮らしになっても食事が届けられ、医師や看護師、ヘルパーなどが訪問をしてくれるので最後まで自宅で暮らせます。介護保険制度の中での新しい仕組みですが、こういうまちを復興しましょうとお話しすると、住民の方々はたちまち賛同して、意見も聞きかせてくれます。
釜石の議論のとき私が本当に感激したのは、最後に住民の皆さんの意見がまとまって、「これまでは新日鉄に釜石が依存してきた。でもこれからは釜石のための新日鉄になってもらおう。それには私たちも頑張らないといけない」と言われたときです。こういった貴重なご意見を私たちは行政につなぐ作業をしています。
また私たちが忘れてはいけないのは、福島の県外避難者です。去年6月から、地域ごとに集まって話し合いや情報共有できる「同行会」の組織作りにかかったのですが、個人情報保護法という悪法のため、仕事が進みません。東京都にも7,000人くらいの避難者がおられますが、その方たちの連絡先を教えてもらえない。それでもなんとかつてを辿り、会を作っています。まだまだ手つかずの分野ですが、これからも多くの避難者をみんなで支えたいと願っています。