◆パネルディスカッション
子どもたちに引き継ぐ社会を創造する企業・個人のあり方とは
木全 ミツ(きまた・みつ)氏
認定NPO法人女子教育奨励会(JKSK)理事長
女性を最大限活かした日本復興支援
プロジェクト(結結プロジェクト)を発足
私は少女時代から、75歳までは社会で存在価値ある生き方をしたいと思ってきました。しかし、昨年75歳の誕生日を迎える直前、東日本大震災に遭遇しました。「これは日本人一人ひとりがもてる能力を存分に発揮して立ち向かわねばならない国家規模の問題だ。私も未だエネルギーが残っているわ」と人生目標を5年間、延長することにいたしました。そして5カ年計画にとりかかりました。
日本の社会では、何か事が起こると男性に任せておけば・・・という傾向にありましたが、今回の日本復興支援プログラムは、女性が牽引していこうと、首都圏の志の高い(自分一人でも具体的に行動に移そうとしている会社社長、NPOの長、会社経営幹部、大学教授など)女性の皆さん10人ほどにお声をかけました。そして、「女性を最大限活かした日本復興プロジェクト(結結プロジェクト)」を発足させました。
大切な事は、東京の目線で対応するのではなく、東北出身、東北在住、東北に精通しておられる方々を主人公にすることです。被災地の女性リーダーの皆様の話に耳を傾けようと、「意見交換会」「交流会」ではなく「車座」を開催することにいたしました。第1回は7月宮城県亘理町で、第2回は
12月福島県いわき市で、話し合いをいたしました。被災地の女性リーダーの皆さんは、泣いたり悲しんだり悔やんだりする時間があるのであれば一歩でも二歩でも行動しようと、動き出されている。明るく、ポジテイブに活動に挑もうとしている姿に、大変感動いたしました。第3回車座は4月に石巻で開催予定です。さらに、被災地の女性リーダーたちと、資金調達力のある首都圏等の女性エキスパートたちのネットワーク化を図っていこうと考えてお
ります。100人を目標に。
「車座」の会話を通じて、具体的な事業が誕生しています。「被災地における中小企業支援プロジェクト」「いちごオーナメントプロジェクト」などはすでにスタートし、今後は「コミュニティカフェバスプロジェクト」「いわき市温泉旅館エネルギー自給自足実験プロジェクト」など等が構想されています。20事業を目標に。
今日は、既に取り組んだ事業の一つ「東北グランマのクリスマスオーナメントプロジェクト」をご紹介いたしましょう。被災地の皆さんは、大なり小なり孤独に直面されており、また、何よりも職と収入を必要としておられます。そこで私たちのメンバーのお一人の株式会社アバンティの社長の渡邊智恵子さんは、自社で扱うオーガニックコットンのはぎれを使い、石巻市、陸前高田市などに暮らす東北のおばちゃん(グランマ)たちに、クリスマスオーナメントを作ってもらうプロジェクトを始めました。例えば1,000円で販売したら、半額の500円が作り手の収入になるというものです。彼女たちは仕事を得たとたん元気になり、会話が弾み、手先が踊り、どんどん作品が作られていきました。しかし、販売されなければ収入に繋がりません。そこで、首都圏等の女性たちも、全国のネットワークを駆使して販売活動を展開し2万5,000個が販売されました。即ち、1,250万円の収入に繋がったのです。
これからの支援活動は、NPO、企業、個人のコラボレーションを活かし、それぞれが持てる力をどんどん発揮してやっていかなければならないのではないでしょうか。